創立25周年

愛知県下内科医会合同例会開催35周年(1980〜2015)
愛知県内科医会・創立25周年(1990〜2015)

愛知県内科医会25年の歩み

愛知県内科医会名誉会長 太田 宏

ご挨拶

早いもので、「愛知県内科医会」が創立されてから25年の歳月が流れました。その中核となった名古屋内科医会は昭和38(1963)年に創立されています。それまで名古屋大学を中心として開催されてきた勉強会の「名古屋内科会」を、開業内科医を中心とした「名古屋内科医会」として発足させたいと勇を鼓舞して故毛利孝一先生が、当時の名古屋大学教授故日比野 進先生に話しかけて承認を得られ、少人数の勉強会として組織化されました。次第に加入人員も増えて、ほぼ毎月開催された例会も2015年11月には538回を迎えました。2011年7月発刊の例会第500回を記念する名古屋内科医会誌第138号には、それまでの例会講演のテーマと講師名が網羅されています。その長い間に、主なテーマは結核を始めとする諸種感染症から、近年は糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなど飽食に伴うものや、高齢化による認知症などの疾患へと移ってきました。

日本臨床内科医会と愛知県内科医会の創立

全国的な視野で見ると日本内科学会雑誌は第104巻に達し、長年の実績を誇っています。なお、日本血液学会は昭和13年(1938)に名古屋大学の勝沼精蔵先生によって創設されましたが、名古屋が戦災によって焼失したため、本部は京都へ移りました。
日本臨床内科医会は、実地医家を対象に1985年に創設され、その第1回総会が昭和60年(1985)4月6日に開催され、「肺癌診断の愛知方式」と題して西村譲先生から、さらに岡山の谷本光音先生(岡山大学)の御父上様から「実地医療の在り方」についてお話し頂き、それが日本臨床内科医会(以下日臨内)の嚆矢となりました。なお、日臨内総会の第2、第3回はその翌年と翌々年に東京で開催され、さらに日臨内医学会は総会の翌昭和62年(1987年)京都で第1回が開催されて、亀山正邦先生から「老化と脳(今でいう認知症をふくめて)」の講演を拝聴しました。その後の数年間も2、3題の教育講演を柱とした日臨内医学会が開催されましたが、私どもが第6回日臨内医学会(平成4年9月19~20日、故宇野立男先生が会頭)の開催前に愛知県下の14市での地区内科医会(名古屋、一宮、半田、春日井、小牧、稲沢、海部、豊橋、岡崎、豊川、刈谷.豊田加茂、蒲郡、安城)をまとめて1990年に愛知県内科医会を発足(後で参加した地区もある)致しました。

愛知県内科医会の活動

愛知県内科医会は、毎年6月の総会、1月と8月の合同学術例会、2月の連絡協議会、年2回の理事会を開催して、今年で25周年をむかえることが出来ました。愛知県内科医会の会員数は多い時で1300人以上、そして現在は1100名足らずと減少しておりますが、福岡県に次いで全国第2位(東京とほぼ並び)、2015年8月には第65回愛知県下内科医会合同例会が催され、文化講演として、ザンビア特命大使などを務められた東京大学名誉教授の石 弘之先生から「感染症の歴史-ヒトと微生物の終わりなき戦い」と題して天然痘、コレラ、マラリア、結核、インフルエンザ、エボラ出血熱まで広範かつ詳細で大変有益な御講演を拝聴致しました。

日臨内医学会開催の思い出

なお、少し古い話題でありますが、第6回と第21回の日臨内医学会で愛知県内科医会の皆様にご協力いただいたことを振り返りたく存じます。第6回の日臨内医学会(1992年)では『広い視野の医学・医療を目指して』をメインテーマにして、それまでの5回の医学会よりも多くの教育講演(「脳卒中の予防・診断・治療」、「心電図をどう読むか」、針刺しB型肝炎を巡る諸問題)などの他に、恩師・大先輩の日比野進先生から「医学史の流れの中において」、毛利孝一先生からはご自身の心筋梗塞の折に体験された死に臨んでは草花のなかをすすむような浮揚感があるといった「臨死体験」を語って頂きました。

第21回日臨内医学会では、会長の私と安藤忠夫実行委員長でメインテーマを『新しく視野の広い医学・医療を求めて』に決めてから、私はその数年前から印象深く拝聴した「災害時に病院の果たすべき役割―地下鉄サリン事件対応の反省点より」(聖路加国際病院 石松伸一救急部長)と「マラリアはローマの友達―中世に影を落とした二つの感染症』(小長谷正明鈴鹿病院院長)の演題を1年以上前からお願いしておりました。その他、その頃最もホットな話題であったメタボリックシンドロームについて4人の最高権威の諸先生に1年以上前からご依頼し、さらに糖尿病、高血圧、癌、心臓、脳虚血、画像診断、不整脈、造血器悪性腫瘍の最新の治療、言語の脳機能、再生医学などについて往時の最高権威の諸先生に日程を調整して頂いて講演をお願いしました。その他のよくばったプログラムなどの甲斐あってか往時としては最高の参加者(1395名)を得て、内容に富む学会と評価を頂きました。これもひとえに往時の担当役員、そして有能な事務能力を発揮いただいた上屋ゆかりさんのご貢献の賜物と深謝したい思いでいっぱいです。

さて、かつての愛知県内科医会で経験した日臨内医学会を振り返ってみましたが、近年は夕食付きの製薬会社の講演会が数多くあり、愛知県内科医会の講演会の重みも薄れる感がある現況にあって、2016年3月26日には認知症についての講演会が予定されており、愛知県内科医会の会員の皆様の講演会への多数のご参加、およびご健勝を祈念してご挨拶と致します。

ページの先頭へ戻る