インフルエンザ

2003年4月にはSARS(重症急性呼吸器症候群、通称サーズ)が海外で流行し多くの死者を出しました。
SARSほどではないにせよ、同じ呼吸器疾患であるインフルエンザも感染力の強さ、重症化し易さなどより用心しなくてはいけない疾患です。
そこで気になる冬の風邪、インフルエンザの予防と治療についてお話いたします。

インフルエンザはなぜ怖い

日本では毎年何人くらいの方がインフルエンザにかかっているのでしょうか。
全国の代表的医療機関を受診されインフルエンザと診断される患者さんは年間およそ100万人弱と報告されています。
その数にその他の医療機関を受診する患者さんの割合を掛けて、おおよそ年間1000万人がかかっていると考えられています。
日本の総人口が1億二千五百万人ですから、少し多すぎるようにも思われますが、新種のインフルエンザが出現した場合には人口の25%、3250万人が感染すると推定されており、それからすればさほど無理な数字ではないように思われます。
これらの患者さんから重症化し毎年数千人の死者が出ていると考えられています。

インフルエンザの予防は可能か

インフルエンザの予防には抗ウィルス剤を内服する方法と、ワクチン(予防接種)による方法があります。
ワクチンとはその年に流行すると予測される型のインフルエンザウィルスを処理し無毒化したもので、小児の場合約1ヶ月間隔で2回接種、成人の場合は11月から12月ころ1回接種します。
これによってインフルエンザにかかる前に抗体を作っておくことができます。
血液中に抗体があると、いざインフルエンザウィルスが体内に侵入してきても、たちどころに抗体が取り囲んでやっつけてくれます。
ただし効果が良いのはやはり若い方で、高齢の方は打ってもインフルエンザにかかることがあります。
しかしワクチンを打っておくと、肺炎になったりする重症化は高い確率で予防できます。

インフルエンザの治療

インフルエンザには、発熱や咳や関節痛などインフルエンザ症状を発症してから48時間以内に開始すれば有効な抗ウィルス薬もあります。
オセルタミビル(内服)、ザナミビル(吸入)、アマンタジン(内服)の3種類があり、前2者はA型B型インフルエンザ両者に有効ですし、アマンタジンはA型にのみ有効です。
冬の流行のほとんどはA型ですからいずれを選択してもあまり変わりはなく、これらを服用した場合1日程度症状の改善が早まります。
昨今、鳥インフルエンザによる死亡例の報告などにより、インフルエンザは大変怖い病気だと言う認識が広まりつつありますが、乳幼児や高齢者以外では重症化は稀ですから、インフルエンザ治療薬の服用については主治医とご相談されて、各自の症状に合わせて処方するか否か決めて行かれればよろしいかと思います。

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