名古屋内科医会会長 安藤 忠夫
名古屋内科医会は、1963年に毛利孝一先生を初代会長として発足しました。創立当時に加入された高齢の先生方が現在でも毎月の例会に出席され学問に対する熱い情熱をもって生涯教育に自己研鑽をされています。毛利先生は25年間の会長を務められました。つづく第2代会長の宇野立男先生は5年間担当され、日臨内副会長の重責を兼務されました。
第3代会長の太田宏先生は17年間にわたり内科医会を牽引され、愛知県内科医会会長も兼務されて、毎月の例会、年3回の学術の集いの講演会では、一回も欠かすことなく、文化講演をはじめ、多くの企画にその英知を発揮されて、伝統ある内科医会を担ってこられました。
さて、内科医会発足後、およそ半世紀たった今日において、私たちに求められているのは「新しい内科医会」の姿であろうと考えています。とくにこの10年、20年の間に日進月歩の医学医療は大きく変化をしてまいりました。画像診断の能力は格段に進歩し、治療においては新薬の開発が進み、EBMの考え方が導入されて、それまでの経験に基づく医学から、根拠に基づく医療へとパラダイムがシフトいたしました。今日の医療では、個人の経験だけを頼りにすることは許されません。ソロプラクティスに陥りがちな開業医はその点を認識する必要があると思います。
私たちは「もっぱら内科医」の集団としては、集団としての医療の質を考え、質の向上に努める必要があります。もっぱら内科医ならではの診断と治療、そして患者指導が求められていると思います。“にわか内科医でもマニュアル通りにすれば治療ができる。もっぱら内科医の基盤は何か”、そのようなことを考えながら内科医会として学んでいきたいと考えています。
最近の報告では、legacy effect(遺産効果)、持ち越し効果の事実が明らかとなり、動脈硬化が生ずる前に治療を始めれば心血管リスクが更に軽減するといわれております。生活習慣病に対して適切な指導をして心血管病を予防に努めることは、もっぱら内科医の責務であると考えています。
(平成22年4月17日 会長就任の日に記す)