慢性腎臓病(CKD)という病名を知っていますか?
今年は2002年に米国腎臓財団が慢性腎臓病(CKD)という概念を提唱して20年目に当たります。それまでは無症状の腎臓病は気づくのが遅れて、「慢性腎不全」、「尿毒症」の進行した状態で診断名を告げられる状況でした。手遅れにならないために、腎臓病の発症予防・早期発見・重症化予防の重要性から「慢性腎臓病」と呼ぶようになりました。
早期診断
慢性腎臓病の早期診断には、血液検査と尿検査の両方が必要です。このほかに糖尿病の人では尿中の微量アルブミン測定も必須となります。この20年間に、腎臓の機能を表す指標として血清クレアチニンという血液検査項目がありましたが、この値では腎機能障害の程度が分かりにくく、血清クレアチニン値をもとに糸球体ろ過率(GFR)を算定する方法(推算式)が考案されました。
重症度分類
今では蛋白尿の有無とGFR値でどの程度の腎臓障害があるかを診断する基準(重症度分類)ができました。
GFR値が3カ月間、60以下が続くとGFR区分はG2で慢性腎臓病と診断されます。この重症度分類がG3b(GFR値45未満)にすすむと透析治療に至るリスクが高まるため、かかりつけ医と腎臓内科医とが連携して診ていくことが望まれています(図の重症度分類を参照)。

今日、慢性腎臓病の患者数は1,300万人と推計されています。高齢化に伴って、日本人の8人に1人はCKDと診断され、透析や心血管疾患の危険因子となるため、その対策は喫緊の課題と言われています。医師から腎臓の働きが悪いと言われたら、GFRの値に注目してください。
このときになぜ腎臓が悪くなったのか、どの程度悪いのか、どうしたら良くなるのかを主治医に尋ねましょう。重症度の判定には、その原疾患の診断とGFR値のみならず、尿検査でタンパク尿・アルブミン尿の有無を知ることが不可欠ですので、尿検査を受けてください。尿に蛋白や血液が混じっていないかを見ることが大切です。
CKDの原因診断と対策
慢性腎臓病を引き起こす代表的な疾患には、糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性糸球体腎炎などがあります。このうちのどれに該当するのか、診断が必要です。
透析の原因で一番多いのは、糖尿病による糖尿病腎症で、43%を占めています。この早期診断には尿中にアルブミンが混じっていないかを調べる必要があります。早期であれば治療によってアルブミン尿が減少し、腎臓障害をくい止めることができます。そのため糖尿病の人は3か月から1年に1回の受診日には検査を受けましょう。
慢性腎臓病では末期腎不全に進行するまでは無症状です。しかし、慢性腎臓病の原因となる糖尿病・高血圧や慢性腎臓病自体で、動脈硬化が進行して心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)の危険が高まり放置できません。進行を遅らせるためには、まず、腎臓病の危険因子となる生活習慣の見直しです。生活習慣病の高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などの是正に努め、これらの疾患をしっかり治療することです。ある程度、慢性腎臓病がすすむと食事の注意が必要で、「塩分制限」、「タンパク質の制限」、肥満防止のための「適正なカロリー摂取」が必要となります。この他にも必要に応じて「カリウムやリンの摂取制限」などがあります。
愛知県内科医会 安藤 忠夫

