健康コラム
令和6年 生活習慣病の治療はなぜ必要なのか
     ~心不全パンデミックの到来

2024年度の診療報酬改定によって、生活習慣病管理料が新設されました。保険診療での生活習慣病とは「高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病」の3つを指していて、従来は特定疾患に分類されていました。今回の生活習慣病管理料では「療養指導計画」を立てて患者さんに説明し、治療することとなりましたが、療養指導で生活習慣改善が改善されて治療効果が上がることが期待されています。

さて、生活習慣が原因となって3つの生活習慣病が発症することは広く認識されていますが、なぜ治療必要か、何のために治療しているのかについては十分には理解されていないようです。なぜ、血圧を下げ、コレステロール値を下げ、血糖を下げる必要があるのか、どこまで下げると良いのか「治療目標値」を知ることが大切です。また、3つの生活習慣病が原因となって心血管疾患に至ることを理解すれば、治療の目的が明らかとなります。

治療目標値まで、血圧、コレステロール値、血糖値をさげる必要があるのに、いい加減に済ましたままにすることを「イナーシャ」(目標値に届かない、いい加減な惰性の治療)といい、これは治療していることになりません。

今日、高齢化社会を迎えて、生活習慣病に由来する心血管疾患(心臓病・脳血管障害)、慢性腎臓病、認知症が増加してきています。特に虚血性心疾患や高血圧に由来する慢性心不全の増加は、世界的な規模で「心不全パンデミック」の到来といわれています。

心不全は4つのステージに分類され、ステージAは生活習慣病、Bは虚血性心疾患・心臓に負荷が生じる段階、Cは心不全徴候の出現、そしてDは治療に抵抗性の難治性・末期心不全へと段階が進んでいきます。

生活習慣病から末期心不全に至るまでに4段階があり、治療と努力によって、その進行を抑制することが可能ですが、まずは生活習慣病の段階での生活習慣病予防と治療が一番大切であり、そのために自覚症状が何もなく健康であるのに、通院をしていただいているのです。治療目標値を見据えて、いい加減な治療にならないようにしましょう。

愛知県内科医会 安藤 忠夫

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